046-232-8811

受付時間10:00~13:00 / 14:30~19:00

休診日木曜・日曜・祝日

失敗症例と原因

インプラントが失敗する原因

インプラント治療は近年急速に普及してきている治療法で、毎年10%ずつ需要が増加していると言われるほどです。歯が抜けた後を補う有効な治療法ではありますが、絶対に失敗しないとは言い切れません。インプラント治療の失敗例とその原因、失敗を避けるためのポイントについて解説していきます。

歯科用ライト

インプラントと骨が結合しない

インプラントの失敗で最も多いものは「インプラントと骨が結合しない」というトラブルです。インプラントは埋入後2か月〜3か月ほどで、骨がインプラントと結合します。しかし、100本に2〜3本程度の割合で、結合しないというトラブルが起こります。

インプラント埋入手術が無事に終わったとしても、お口は常に使うものですので、何らかの影響を受けてインプラントが動いてしまったり異物だと認識されてしまったりすると、うまく結合できないことがあります。インプラント埋入手術に原因がある場合には、次の2つが理由として考えられます。

原因1インプラントが適切に埋め込まれていない

インプラントを埋め込む位置や深さが適切でなければ、インプラントがうまく骨と結合しない事があります。極端な失敗例ですが、比較的骨が薄い上顎のインプラント治療では、貫通してしまうような事態も起こることがあります。

原因2骨が火傷してしまった

顎骨にインプラントを埋め込むための穴をドリルで開ける際、適切にドリリング出来ないと、周囲の骨がドリルとの摩擦熱で火傷を負い、うまくインプラントと結合しなくなります。術者によるドリル操作や注水よって防げるのですが、経験が浅いと骨を火傷させることがあります。「骨が薄くないか」「骨密度は十分か」などについても十分に診査し、考慮した上で手術を行う必要があります。

細菌感染してしまった

インプラント周辺の歯肉や骨が細菌感染し、インプラント周囲炎を起こすと、人工歯根の脱落を招く事があります。「インプラント周囲炎」とは、インプラントの周囲組織で起こる歯周病です。

天然歯には、歯と歯槽骨を結びつける組織である「歯根膜(しこんまく)」が存在していますが、人工物であるインプラントにはそれがありません。そのため、歯周病菌を始めとする細菌に対する抵抗力が弱く、天然歯よりも炎症が進行しやすくなっているので注意が必要です。

原因1治療環境の衛生管理が不十分

細菌感染、二次感染を予防するために、治療に使った器具や機械の滅菌・消毒は必須ですが、器具の使い回しをしている医院も少なくないという調査結果もあります。特にインプラント治療は、外科的処置が必要であるため、徹底した衛生管理が必要です。器具の使い回しや不十分な衛生管理を行っている歯科医院を選ばないようにすることが大切です。

原因2歯周病治療が不十分

歯周病が原因で歯を失った人でも、インプラント治療を受けられますが、施術前に十分な歯周病治療が行われていることが重要です。歯周病菌は、治療をしない限り口腔内に繁殖した状態のままですので、口内全体に病が広がり、健康な他の歯にも影響が出てくる可能性も高いでしょう。歯周病治療が不十分なままインプラント治療を行うと、インプラントが細菌感染する可能性が高くなります。

なお、喫煙習慣や糖尿病がある場合には、細菌への抵抗力が弱いため更にリスクは高くなります。最初からインプラント治療自体を諦めなくてはならないケースもあります。

原因3術後のメンテナンスが不十分

インプラント治療後は、インプラント周囲炎を始めとする細菌感染予防や咬合の歪みを小さくするために、定期的にメンテナンスを行う必要があります。自宅では毎日丁寧に歯みがきを行い、定期的に歯科医院でインプラントの状態のチェックと、クリーニングを行います。インプラント周囲炎は、自覚症状があまりないまま進行してしまいます。メンテナンスを怠ってしまうと、気付いたときには手遅れだったとなりかねません。

腫れや痛みが長期間続く

インプラントは外科手術ですので、治療後は痛みや腫れが出ることがあります。通常は数日で治まりますが、長期的に続くのは問題です。いつまでたっても痛みや腫れがひかなかったり、我慢できないような痛みが続いたりする場合には、インプラント治療が失敗している可能性があります。

原因1インプラントが適切に埋入されていない

インプラントが入った歯の模型

インプラントが適切な位置・深さ・角度に埋入されていない可能性があります。周囲の組織を損傷したり他の歯根に触れたりしていると、痛みを生じることがあります。

下顎の臼歯部(奥歯)の下に下歯槽管(かしそうかん)という神経の管が通っており、万が一これを傷付けてしまうと、味覚や感覚麻痺が起こってしまいます。また、近くには血管も走っており、日本でも過去に血管を傷つけて大出血を起こし、患者が亡くなる事故が起きたことがあります。この事故は、事前検査の怠慢やトラブルへの対処法等、様々な問題が絡んだ極端な例ですが、術前検査や施術件数の重要性を心に留めて歯科医院選びをしましょう。

原因2細菌感染を起こしている

細菌感染を起こしている場合、腫れや痛みが長期間続くことがあります。治療環境の衛生管理や、その後のメンテナンスが不十分だった可能性があります。

人工歯が外れる・壊れる

インプラントの上部構造である人工歯部分が外れてしまう、また割れたり壊れたりしてしまうことがあります。

原因1咬み合わせの調整が不十分

咬み合わせの調整が不十分で、一部に大きな負担がかかっていると人工歯が破損してしまうことがあります。人工歯を装着後、歯科医師と確認しながら、きちんと調整してもらうようにしましょう。また、使用しているうちに、咬み合わせに変化が起こります。定期的なメンテナンスで、咬み合わせのチェックをしてもらうことも重要です。

原因2人工歯取り付け部分の締め付け不足

インプラントは、人工歯根と、人工歯を取り付けるための支台部(アバットメント)、人工歯で構成されています。アバットメントのネジ止めの締め付けが不十分だと、人工歯がガタガタとしたり外れたりすることがあります。アバットメントのネジを締め直すだけなので、それほど深刻な問題ではありません。

インプラントの失敗を避けるためのポイント

インプラント治療の失敗をできるだけ避けるために、患者様が出来る注意するべき3つのポイントを紹介します。

慎重な歯科医院選び

インプラント治療は外科手術を伴う特殊な治療法ですが、実は歯科医師であれば誰でも治療手術を行えます。インプラント治療の十分な実績があるかどうか、治療設備は十分整っているかなど、ホームページ等で事前に情報収集をするのが良いでしょう。歯科医院によっては、実際にインプラント治療を行う前に無料相談等を受け付けている医院もあるので、受けてみるのも手です。

学会や勉強会に所属・参加している歯科医師は、最新の治療技術を身につけていることが多いです。歯科医師の治療技術は、素人にとっては分かりにくいですが、ホームページ等で歯科医師紹介を掲載している場合も多いので、先に確認しておくと良いでしょう。

術前のカウンセリング

インプラント治療を丁寧に行っている歯科医院は、術前のカウンセリングを欠かせません。カウンセリングでは、治療法や治療に伴うリスクについて納得がいくまで十分に説明を受け、わからない事があれば積極的に質問するようにしましょう。予めリスクの説明をしてくれなかったり、万が一脱落した場合の再手術についての質問に答えてくれなかったりするようであれば、違う医院へ行った方が無難です。

治療後の定期的メンテナンス

インプラント治療は、インプラントを入れたらそれで終わりではありません。自分の身体の一部として長期的にインプラントを使うためには、治療後のメンテナンスが必要不可欠です。必ず歯科医師が指示した通りの受診間隔で、定期的にメンテナンスを受けるようにしましょう。

グループ医院のご案内